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> 「ひたかの大地に」~母なる北上川の記憶

作曲:八木澤教司氏
創立10周年記念みなみ吹奏楽団委嘱作品
八木澤氏作曲吹奏楽曲第60作品目
 作曲年:2007年 グレード:4 演奏時間:約9分10秒 演奏人数:45人以上
 初演:創立10周年記念みなみ吹奏楽団第10回定期演奏会(みなみ吹奏楽団演奏)


 みなみ吹奏楽団創立10周年を記念し、北上市出身の作曲家、八木澤教司氏に委嘱して作曲された曲である。2008年1月「みなみ吹奏楽団第10回記念演奏会」にて初演。芸術文化協会の推薦を受けて当団が出演した「国民文化祭・おかやま2010」(2010年11月)のメインコンサート(倉敷市)で再演し、好評を博した。また、2012年3月に開催される奥州市民劇「ひびけ木貝よ!-寛政の義民、清三郎と正覚坊の青春-」のメインテーマとして使われることが決まっている。

 委嘱に当たって、当団からは以下のようにお願いした。
 
~我々の住む奥州は、『続日本紀』に、「水陸万頃(すいりくばんけい)」の地であると記されています。「水陸万頃」とは豊富な水と肥沃な大地を意味する言葉です。千年以上の昔から、北上川と奥羽山脈の恩恵に与るここ奥州の地の豊かさと美しさが、広く認められていたことを示すものです。この豊かな土地である奥州には、東北地方の先住民族である蝦夷の時代から現在の奥州まで、さまざまな歴史と文化が営まれました。委嘱する作品では、北上川や奥羽山脈などを有する奥州の情景や、その土地に住む人々による歴史と生活の営みを音楽にしていただきたいと思います。~

 曲は、北上川の始まりを示す印象的なモティーフから始まる。それはまるで、緑々とした葉から零れ落ちる朝露の一滴のようである。一滴の水滴から始まった大河は、その流れに任せて様々な情景を映し出す。この地に生きる人々は、鳥のさえずりに耳を傾け、石器の打音に日々の喜びを感じ、素朴で繊細な生活を営む。この美しい情景に暗雲をよぶ和音は侵略軍の足音を導き、Tp.の合図で開戦が告げられる。そこかしこで交わる刀、怒号、逃げ惑う者、命がけで戦う者。自らの生活をかけた戦いは凄惨を極める。黒煙が収まるにつれ目前に現れる情景が、Ob.の独奏によって映し出される。荒らされた大地、焼け落ちた館、累々と並ぶ遺体。北上川は血に染まり、それを目にする者たちを絶望させる。絶望と悲哀は、Cla.とPianoの伴奏を伴ったEuhp.の鎮魂歌となり、それは人々の慟哭となって北上川の記憶に刻まれる。心の傷と刀の傷、どちらの痛みが勝るのであろう。風鈴の音に導かれ、我に返ったように現代の情景が映し出される。Picc.の独奏は活気ある祭りの始まりを告げるが、悲劇の記憶からかその音色はどこか切なく、それゆえに美しい。膜鳴打楽器の躍動に鹿(しし)が踊り、歴史を語り継ぎながら曲は高揚していく。興奮が最高潮に達したところで、蝦夷の生活を描いた旋律が現れる。この旋律は、この地で生きる我々に、連綿と続く歴史と脈々と流れる誇りを教えてくれる。感傷的な北上川の記憶が断片的に現れるが、輝かしいTp.のフレーズによって断ち切られ、北上川は平穏な流れを取り戻す。この地の繁栄を願う人々の思いは壮大なエンディングを形づくる。北上川を賛美するChimesとTimp.が鳴り響く中、金管楽器が未来へのファンファーレを高らかに奏でた後、冒頭で零れ落ちた一滴の水滴が回想されて曲は閉じる。(第13回定期演奏会パンフレット引用)


◆団から依頼した内容を掲載します◆

~我々の住む奥州は平安時代初期に編纂された勅撰史書で、日本書記に続く六国史(りっこくし)の第二書である「続日本紀」(しょくにほんぎ)の中に、奥州の地は「水陸万頃(すいりくばんけい)」と記されています。「水陸万頃」とは水と土地がとても豊かであることを指す言葉です。このような昔から奥州が美しい地であると呼ばれていたのも、すべては北上川と奥羽山脈に囲まれた素晴らしい環境であったからでしょう。その自然豊かな土地である奥州には、東北に住んでいた先住民族である蝦夷(えみし)から現在の奥州に暮らす人々まで、さまざまな歴史と文化の営みがありました。今回、八木澤先生に作曲をお願いする作品では、北上川や奥羽山脈などを有する美しい土地である奥州の情景や、その土地に住む人々による生活の営みを音楽にしていただきたいと思います。

~そして曲の構成は、
①オープニング:北上川の情景→
②北上川の記憶(
 ②-1北上川周辺で暮らす蝦夷たちの生活の様子→
 ②-2蝦夷と侵略者である朝廷との戦い→
 ②-3戦いで命を落とした蝦夷たちのへの鎮魂)→
③先人への感謝のもと生活する現代の奥州人の営み→
④エンディング:奥州の歴史が、さまざまな自然や北上川の恩恵のもとこれからも永遠に繰り返される~


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by minami_mi_1997 | 2011-12-03 17:00 | 作品の紹介 | Comments(0)

「みなみ吹奏楽団」は奥州市を中心に岩手県南で活動する一般吹奏楽団です
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